NB LOVERS

NB LOVERS vol.12:A-1 CLOTHING/M.V.Pディレクター 真柄尚武

2016.09.28

「ラグジュアリーな1300、ストリートなFOOT LOCKER別注モデルの996。この2足に出会って〈ニューバランス〉を好きになりました」

気付けば、手放せないスニーカーになっていました……〈ニューバランス〉を愛する人たちは、まるで人生のパートナーのように思いを寄せる。洋服に興味があった学生時代の頃から〈ニューバランス〉に惹かれていったという「A-1 CLOTHING」の真柄尚武さんは、東京ストリートカルチャーの成長とともに、新しい側面の〈ニューバランス〉を提示してきた。

〈ニューバランス〉580が今年で20周年を迎え、その周年を記念し今年春にリリースされた「MRT580 “580 20th ANNIVERSARY”」。そのデザイン制作に「A-1 CLOTHING」のディレクターを務める真柄尚武さんは携わった。真柄さんは1994年にスタートしたブランド「HECTIC」のブランドディレクターを務め(現在は終了)、長いこと東京発ストリートシーンを牽引してきた重要人物。’80年代後半からアメリカンヴィンテージに興味を持ち、一時期は古着のバイヤーをしていたことから、モノの善し悪しを見分ける目はピカイチだ。その中で、〈ニューバランス〉の魅力に虜になったのは、早くも大学生の頃のことだった。

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「かれこれ30年前に1300の1stがリリースされた時(1984年)、実際にスニーカーを見て驚いたんです。雑誌POPEYEで、ポックリとしたデザインが”百恵の唇”と表現されていたり、ラルフ・ローレンが実際に履いて絶賛していたんですけど、とにかく一線を画す何かが1300にはあったんです。例えば当時は他では使わないヌバックを使っていたり、ソールは1番ハイテクなもの(ENCAPソール)を使用していたので、まさにエポックメイキングなスニーカーでした」。当時、日本では取り扱い店が少なく、真柄さんは自由が丘の「シャンブレー」という今でいうセレクトショップで運良く購入したそうだ。

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「1300」に出会った後にリリースされた、「996」の黒とゴールドの「FOOT LOCKER」別注モデルを見た時も驚いたそうだ。「そのモデルをゴリっとしたアメカジ好きな人たちが履いていたんですよ。色合いや素材からも高級感溢れるスニーカーに感じました。しかも当時は売っていた店が限られていたので、誰しもが手にできる分けでもなかったんです」。ラグジュアリーな「1300」と、ストリート感のある「996」に出会ってから、〈ニューバランス〉に夢中に。「ボストン発ということも、東海岸好きな僕にとって惹かれる理由のひとつでしたね。スニーカーって履いていると踵部分などが加水分解してくるじゃないですか。でもそこまで履きたいなと思える唯一のスニーカーが〈ニューバランス〉でしたね」。

その後、「HECTIC」をプロデュースするようになってから、当時はまだ使用することが可能だった「1300」のグレーを用いて「670 “STUSSY × HECTIC × new balance”」を製作。さらにはブランド〈CORONA〉とコラボレーションをした際も同カラーを採用し「1600 “HECTIC×CORONA×mita sneakers×OSHMAN’S」」を制作した。そしてストリートカルチャー界では、すでに伝説のスニーカーとなっている「580」を用いた「MT580 “ HECTIC × mita sneakers”」をリリース。真柄さんは東京ストリートカルチャーが世界に羽ばたいていくのと同時に、「580」を世の中の人々に認知させた。

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「580に関しては、当時は見向きされずに上野のワゴンセールの中にあった580を、日本へ遊びにきていたニューヨークのスケーターたちが気に入り、僕たちなりの解釈で履き出したのが良かったのだと思います。付加価値を付けたもの勝ちというか、それがまかり通った時代だったので」。それまでコンサバなイメージだった〈ニューバランス〉のイメージを、真逆のストリート解釈で打ち出した「580」は、今となっては〈ニューバランス〉の歴史の中にひとつ足跡を刻まれている。
取材当日履いていたのはコートシューズの「671」。「リリースされて気になるものや、気に入ったモデルがれば、どんどん履いてみたいですね」。れからも真柄さんの生活に〈ニューバランス〉は不可欠なものとして存在していくこと間違いない。

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(左から右へ)〈ニューバランス〉MRT580が今年で20周年を迎え、記念に制作された「MRT580 “580 20th ANNIVESARY”」(2016年)。元「HECTIC」に在籍していた真柄さんと、江川芳文さん(現「Hombre Nino」)と、「mita sneakersの国井栄之さんの3人で考案して制作をした。色はトリコロールを基本に2タイプ。「昔の580と違ってシュッと細身ですね。ソールも軽い」と〈ニューバランス〉の進化を真柄さんも絶賛。昔のサンプルを制作はしたものの販売までは至らなかった「mita sneaker」と考案した「1500」。「MT580 “HECTIC × mita sneakers”」のセカンドモデルで使用された色を「1500」に乗せてみたのだとか。「580」の10周年を記念したゴールドとブラウンがラグジュアリーな「MT580 “HECTIC × mita sneakers” 10th ANNIVERSARY」(2006年)。真柄さんが〈ニューバランス〉が好きになったきっかけとなった「1300」をはじめ、「1300」に影響を受け制作された、「1600 “HECTIC×CORONA×mita sneakers×OSHMAN’S」(2010年)と「670 “STUSSY × HECTIC × new balance”」。

photo:Takuya Sugie(TRON management)
text:Kana Yoshioka

真柄尚武 / A-CLOTHING/M.V.Pディレクター

1969年生まれ。東京都出身。裏原宿の伝説的ヴィンテージストア「VINTAGE KINGS」を経て、1994年に「realmadHECTIC」をスタート。2000年後半には自身のブランドとなる「MASTERPIECE」をプロデュース。現在はワークウエアやアウトドア、そしてミリタリーにインスパイアを受けたブランド「A-1 CLOTHING」「M.V.P」をディレクションする他、ショップ「A-1 CLOTHING」を運営。また2000年代より、レゲエサウンドクルー「MASTERPIECE SOUND」にてMAGACHINの名でセレクターとしても活躍。長きに渡り東京のストリートシーンを牽引中。
http://shop.a-1clothing.com